愛は、断ち切る
- Manish Nukii
- 2016年7月17日
- 読了時間: 4分

あるとき、ゴードンという人がいた。
幼い頃、両親が彼の胸のところへ
一匹のサルを結びつけた。
毎日、彼らは結び目をきつく、
複雑にしいていき、
ついにサルはほとんどゴードンの
身体の一部にまでなってしまった。
このハンディキャップのせいで、
ゴードンは他の子供たちと
遊んだりすることが難しかったし、
大人になるとさらに人生の妨げになった。
そこで、彼は医者のところへ行って
サルを厄介払いすることに決めた。
彼が行った最初の医者は、
こう言った。
「そうですね、あなたが
動かずに横になり、
生意気な口答えをしなければ
どうにかできるでしょう」
そこで彼は、何週間も何週間も
医者が結び目をほどこうとしている間、
じっと横になっていた。
数年たった頃、端がいくらかほぐれてきたが
結び目は依然としてきつかった。
そのうち、ゴードンはこの医者に
通うのに飽きてきてやめてしまった。
次の医者は結び目をよく見て言った。
「これはひどい。
これはただの結び目ではありませんよ。
二重結びですな」
彼はいい医者だったが、
結び目をほどくことはできなかった。
ゴードンは三番目の医者に行った。
その医者は結び目をよく見て、
剣を取り出し、一撃のもとに、
ゴードンの結び目の中心を
切り裂いたので、
サルは逃げていった。
最初の医者がこのことを
聞きつけて、見に来た。
彼は言った。
「これは公平ではない。
あなたはそれをほどかなければ
いけなかったんだ。
しかも、おまけにゴードンにはサルが
いつもいたところに白い大きなしみが
できているじゃないか」
そして、彼は二番目の医者に言った。
「心配ないさ、
いずれにしろ、これで終わりと
言うわけじゃない。
すぐに、ゴードンは、もっと治療を受けに
戻ってくるさ」
すると、ゴードンが三番目の医者に言った。
「彼は正しい。これじゃ詐欺だ。
あなたはほどかなければならなかったんだ。
それに、確かに私には
サルがいたところに大きなしみができている。
おまけに、私は自分のサルが
いなくなって、淋しいんだよ」
そこで、三番目の医者は言った。
こうしたら、どうです。
ちょっと楽しむことにするんですよ。
いつもサルがいたところにできた白いしみに
模様を描いてみましょう」
最初のうち、ゴードンは
この絵が気に入らなかったが、
すぐに楽しみにするようになった。
「これはただの水彩ですからね」
と三番目の医者が言った。
「いつでも洗い落とせますよ。
それに、いずれにしろ、
しばらくすれば白いしみは
消えてなくなるでしょうし、
あなたもみんなと同じように
見られるようになりますよ」
だが、ゴードンの友人たちは、
ゴードンがそんな楽しみを
持っていることを聞いて、こう言った。
「みっともない。
気色悪い。ひねくれている。
そんな楽しみを味わっては
いけないということは、
誰でも知っていることなんだ。
なぜ、彼は普通に楽しめないんだ?
楽しむ模範的な方法から
脱線せずにはいられないんだ?」
覚えておくがいい。
これが世界におけるものごとのありようだ。
あなた方の精神分析医、
あなた方のカウンセラー、
あなたがたのセラピストたちは皆、
結び目をほどこうとしている。
が、ほどいているうちに、
ものごとはさらにもっと
めちゃくちゃになっていく。
カビールはその結び目を一撃で
断ち切ることを信じている。
そして、それは可能だ――
実際には、それしか方法はない。
だが、学者や神学者たちは
カビールが気に入らなかった。
彼らはこう言い出した。
「これは不公平だ。
あなたは結び目をほどかなくては
いけないのだ。
それに、結び目を断ち切られた人でさえ、
その結び目を切られるときは
気に入らなかったんだ。
彼らは自分のサルがいなくなって、
淋しい想いをしはじめたし、
白いしみだってそこにあるじゃないか」
この物語は素晴らしい。
これは誰か別の人の物語ではない。
これは<あなた>の物語だ。
そして、あらゆる親と
あらゆる社会と、
あらゆる文化が
サルをあなたに押し付け続け、
そのサルをあなたにきつく
結びつけておこうとしている。
それがあなたの知識というものだ。
それこそまさに、あなたの
マインドというものだ。
社会によって結び付けられたサル。
マインドは断ち切られなければならない。
が、精神分析やそれに似たものは、
ただそれをほどくこと
ばかりしている。
完全に精神分析され尽くした人を
見たことがあるかね?
それはありえない――
というのも、マインドはただの
ゴミの山ではないからだ。
ゴミを放り出し続けることができて、
いつの日か、マインドは空っぽに
なるというものではない。
違う、マインドはゴミを製造する。
それは簡単なことではない。
空にしようとしている間に
それはさらにゴミを作り出している。
新鮮なゴミ、
もっと強いゴミ、
よりよいゴミ、
それは作り出し続ける。
しばらくの間は、
あなたも一種、重荷が
ような感じがするだろう。
が、それはまたしてもそこにある。
完全に精神分析され
した人は誰もいない、
誰もそうはなりえない。
――なぜなら、精神分析は
結び目をほどこうとするからだ。
神秘家たちは
徹底的な方法を信じている。
状況は、徹底したものでなければ
助けにならないほどひどく、
絶望的だ。
剣が必要だ。
カビールは剣だ。
そして、あなたも自分の剣を
創ることができる。
その剣はふたつのエネルギーで
創られている
――愛と死だ。
OSHO
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